今回の留学を症例報告風に

【はじめに】

日本において英語能力の高さを採用基準とする会社が増えているなど、英語能力は必要な能力の一つとなってきている。医師の世界においても同様であり、最新の医学情報は英語で入手できる可能性が高く、日本の医学会において英語は必須の能力であるといっても過言ではない。しかし、一方で医師の多くが英語能力不足を感じていることも事実である。日本の英語教育において聞く、話す能力の向上は難しく、英会話に強い不安を持つ医師は少なくない。その不安に対する対応は多様であり、英語からはなれた生活をする例、駅前留学をする例、オンライン英会話をする例などが存在する。今回は我々は英語能力に不安をもつ30代医師が語学留学をおこなった症例を経験したので報告する。

【症例】

30代男性

【主訴】

英語力不足

【既往歴】

英検2級合格 16歳

英検準1級不合格 18歳

【現病歴】

10代前半から英語に対する苦手意識をもっていた。中学は地元の公立中学校であったため目立たなかったが、高校受験に成功し難関校に入学してから徐々に目立ち始めた。塾への通学も開始し、英語の成績は維持していたが特に外国人教師による授業では英語での会話に強い苦手意識があったことからあてられることに対する恐怖で震えていた。偶然合格した英検2級の後、天狗になり、そそのかされて受けた準1級で歴史的大敗を喫し天狗の鼻はGustiloⅢC状態となった。その後はつつましく生活し幸い大学受験にも成功したがその後は最大限英語と離れた生活を送っていた。学年が上がり、論文を読む必要が出てきた際にはほかの人の3倍程度の時間をかけてようやく読みあがるレベルであった。海外へのあこがれはあったが、もともとのへたれで堕落した性格と金銭的な問題から留学には消極的であった。研修医を修了したあたりからこのまま英語ができない人生を歩むことに強い不安感を覚え、4年次よりオンライン英会話を開始。しかし予約時間に緊急呼び出しがあるなど医師としての生活と両立が困難となり挫折。5年次にもオンライン英会話を開始したが十分な時間が取れない状態が続いていたため、6年次にフィリピンへの語学留学を計画。しかし新型コロナウイルスの影響で断念し、今回カナダへの留学を行った。

【経過】

2021年9月より渡航。。。。。。。。。

TOEICスコアは   点から   点に変化、IELTS  を取得した。

【考察】

語学留学は個人の英語力の向上、海外の友人との交流などを目的に行われるが、その期間は数日から数年まで多様である。効果においても不透明であり、現地での過ごし方や、通学する学校においてもその効果は変化するといわれている。一般に語学の習得は若年ほど有利とされており、語学留学を行う人間の大半は高校生大学生などの学生である。本症例のように壮年期に医師が語学留学を行う例は少なく、その成果についても報告は限られる。本症例においては英語力の向上のみを目的とした留学であったが、結果的には海外での交流を得た(未定)。また語学力の向上においても若年者と変わらない成果を得たと考えられる(未定)

 語学留学においては金銭的問題、社会的な問題が渡航期間、渡航場所の制限となる。学生においては親の金銭的事情、単位不足により留年してしまう可能性があるという事情から、成人後においては金銭的事情、社会的地位の喪失リスクなどの事情から、基本的に日本で生活することを念頭に置く場合、長期間の渡航は困難な場合が多い。本症例では就職後に節約や投資を行うことで留学資金を得、就職先の好意的な対応により失職することなく留学が可能であった。

【結語】

30代男性医師の語学留学の1症例を経験した。

壮年期においても語学留学は英語力向上に寄与する。